先日のこと、茨城牛久の近くにある
「江戸崎農業公園ポティロンの森」へ行った。
南仏を思い起こさせる建物がいくつかあり、
牧羊犬や羊毛刈り取りショー、パン、バター作り体験や
犬を20分ほど貸してくれて散歩体験もできる。
また、農業公園らしく野菜の収穫体験も楽しい。
私どもの家族はこの「ポティロン」に今まで何回も出かけ
一昨年は年間パスポートまで買ったほど気に入っている。
ちなみに「ポティロン」とは仏語で「かぼちゃ」。
その日は秋の特別フェアとかで、入場無料。
しかも、ベイFM主催の音楽イベント公開録音をやっていた。
聞いたこともないバンドやグループが出ていたのだが、
一番最後にRyuの名前がある。
あの冬のソナタの曲を歌っていて、紅白にも出場したRyuだ。
私らは特に韓流には全く興味はなく、
会場が食のホールという所でだったので、昼食にフランクフルトや
石窯で焼いたおいしいピザを食べているだけ。
しかしそこにはRyuを待つ異様なマダムたちの雰囲気を感じざるを得ない。
最善の表現でマダムと称したが、事実は推して知るべし。
丁度私らが食べ始めたところで、
1組目妖怪プロジェクトというバンドが演奏し始めた。
雪女や天狗、河童に一つ目小僧という奇抜な恰好をし、
変なバンドと思い期待もしないで聞いていたのだが、
意外や意外結構いい曲でした。(後で調べたら何とavex!)
私らが食べ終わろうとした頃、後ろのマダムたちは我々のことが気になるらしい。
食べ終わればこの家族はどくのだろうと…
その通り韓流には興味なくポティロンを楽しむべく
ココを後にするつもりだが、さすがはマダム。
「この人たち(私らのこと)が食べ終わればどいて広くなるから
あっちにいる●●さんも呼んで一緒に座りましょうヨ…」
まだ食べている途中でしかも聞こえてるって!
悔しいからRyu登場までこのまま居てやろうかと思った。
まぁそういうわけにもいかず、ホールを後にして
我々家族はポティロンを有意義に遊ぶ。
午後3時になると野菜の収穫体験ができる。
その日は小松菜、大根、ししとう、ピーマンが取れるらしい。
食のホールの隣にある畑で収穫するのだが、
収穫している間Ryuの歌が聞こえてきた。
丁度小松菜を引っこ抜いている時だ、
あのピアノのメロディ(冬のソナタ)が流れて来る。
すると会場からはものすごい拍手。最後の曲らしい。
歌が終わるやいなやワンボックス車が横付けされ、
どうやらすでにRyuは車の中。
スモークフィルムでよく見えないが、一番後ろの席から追っかけマダムに
身を乗り出して手を振っていた。
サービス精神旺盛だなぁと思っていたら、
車がこちらに向かってゆっくりと動き出した。
私らの前を過ぎる時、突然窓が開いてRyuが顔を出した。
その距離1mもない。私と目が合い思わず手を振ると、
「こんにちは」と優しく声をかけてきたではないか。
片手に菜っ葉と大根を抱えて、泥だらけの手をした
太いお腹のおじさんにだ!当然歌は聴いてないのに!
いや~感動した!!
韓流ブームの源泉を垣間見た気がした。
なるほどこんなにサービスが良ければマダムもポ~ッとなるわけだ。
私も悪い気がしないどころか、好感を持つ。
これからは“Ryuさん”と敬称をつけることとする。
しかし、そうした感動もつかの間。
遠ざかる車を一人の追っかけマダムが私の脇をものすごい勢いで走り抜けた。
係員の「お客さん!入らないで!! 走らないで!!」の制止も聞かず
「Ryuさ~ん!!」と手を振りながら走る、走る。
小松菜を踏みつけながら……