帰ってきた!いけちんのずれずれ草

12年間続いた、ずれずれ草が帰ってきた!

メトロ

映画『地下鉄(メトロ)に乗って』を見た。
原作は浅田次郎のもので、
売れていた小説という印象はあったのだが、
内容は全くもって知らなかった。
映画の案内を雑誌等で読むに、
主人公が死んだはずの兄を追いかけて
地下鉄の出口を出た所は昭和の時代にタイムスリップという
突拍子もない内容だったことを知って驚いたくらいだ。
映画は原作を読んでいない分、新鮮に感じられ
あり得ない設定にも素直に見られた気がする。
主役の堤真一も良かったが、相手役の
岡本綾の存在が重たく、悲しかった。
ちょっと救われない結果には何とも言えなかったが、
まぁいいお話だったと思う。

映画の中に銀座線の神田駅が何回か出てきた。
私の生家から神田駅の地下鉄入口が見え、
そこから地下に入ると改札まで長い通路になっている。
映画にも出てきたそこは、現在タダの地下通路だが、
そこは昔“メトロ商店街”と呼ばれたれっきとした地下街だった。
私が小さい頃にはいろいろな商店が軒を連ねていた。
すべて思い出せないが
歯科医院、理容店、スポーツ用品店、帽子屋など。
帽子屋さんなんて今の世の中、あったことさえ信じられないが、
磯野波平さんが被るような帽子が
店に飾られていたのを覚えている。
昔の会社員(大人)はああした帽子を日常被っていたのだ。
今では帽子屋さんと言ってもイメージがわかない。
不思議の国のアリスに出てくるウサギか
新美南吉の「てぶくろを買いに」くらいしか出てこない。
メトロ商店街の中でまだやっているのは理容店だけ。
映画の中でもチラっと映った。
それでも、もっと前はたくさんお店があったと聞く。

また、改札から商店街を通り抜け
地上へ出る階段の途中に“須田町メトロ”(だったかな?)という
ダンススタジオがあった。
shall we dance ? の世界が身近にあったのだ。
須田町メトロは普段扉が開いているものの
入口すぐに厚いカーテンが閉じられ、中の様子を伺うことはできなかった。
しかし、階段を登りながら音楽が流れステップや手拍子が聞こえて来て、
ちょうどスタジオの地面と目線が重なってくると
カーテンの下からステップを踏む足だけが一瞬見えたことを
今でも子供の頃の記憶として残っている。

てなことを思い出しながら映画に見入ったわけだが、
他にも真っ赤なボディと横にクネクネした線が入っている
昔の丸ノ内線の車両が出てきたり、
電車がホームに近づくと一瞬パッと電気が消えたり、
懐かしい鉄道シーンが表現されていた。
最近は「三丁目の夕日」(見てない…)のような
こうした懐古映画が流行りのようだ。
それもこれも今気づいたが、団塊世代向けか?
そう言われれば納得。