帰ってきた!いけちんのずれずれ草

12年間続いた、ずれずれ草が帰ってきた!

寅さんファイナル・2

先週寅さんがすべて終わった。
この最終作は見ていなかったのだが、
寅さんシリーズの終焉を山田洋次監督が
予見していたか作品のような気がした。
ちょっとネタばれになるが、
さくらが初めて寅に
「お兄ちゃんが結婚できるのはリリィ(浅丘ルリコ)さん
 しかいないのよ!」と言ったり。
そのあと、寅とリリィと一緒に奄美大島
向かうとき、いつもは「行かないで」という
さくらが、「いってらっしゃ~い」とうれしそうに
手を振るシーン。
そして、正月の博の家では
いつもはタコ社長や工場の同僚が年始に来ているのだが
さくらと二人っきりで誰もいない。
そこで博が「映画でも見に行くか」とさくらと出かける。
こんなことは今までなかった。
寅とリリィ。ついでに満男と泉(ゴクミ)がうまく結ばれ、
新しい時代(?)を見せられた気がする。
結局、また喧嘩して寅は旅に出てしまうのだが、
偶然にもこうしたシリーズの終わり方で、
寅は気が向けば今度は柴又ではなく
リリィの下へと帰ることが想像できる。
でも本当に偶然だったのか?
もしかしたら山田監督は
これ以上撮れないことが分かっていたのか?

なぜ今まで最終作を見ていなかったかと言えば、
やはりどう見ても寅さんは病気をおしての
作品だっただけに、
痛々しさがポスターを見るだけでも伝わってくる。
見る機会もはずしていたが、
そうした作品を見る気にどうしてもならなかった。
実際、映画の中でもセリフや出場機会もそう多くはない。
つらそうなシーンもいくつかあり、
映画放送の後でいつも山本晋也監督らが語り合う中で
最終回ということもあり、山田監督が来ていたのだが
その中でも、撮影時渥美さんの相当無理をしていた
様子がカメラから伺い知れたエピソードを披露していた。
まさに「男はつらいよ

山田監督が来ることが前週に告知されていたので、
48作中どの作品が好きか、マドンナは誰が良かったか
きっと聞くだろうと予想した。
しかし、山田監督は答えないだろう。
とも予測していた。
予想通り聞いたのだが、渋々ながら意外にも答えてくれた。
気に入った作品は15作「寅次郎相合い傘」
マドンナはやっぱりリリィさんだった。
(15作もマドンナはリリィ。)
早速15作目を録っておいたDVDで見直したが、
確かに良くできた作品。
あの有名なメロン騒動のシーンや
寅がリリィの歌を大劇場で歌わせたい夢を
語る独白(解説ではアリアと言っていた)。
確かに名場面の連続で最高傑作という人も多いらしい。

私はと言えば、作品で1、2位というより
場面やセリフの面白さが焼き付いている。
一番面白かったのは、4作のハワイ旅行に行く
おいちゃん、おばちゃん。
三崎千恵子のミニスカート姿は忘れられない。
また、18作の京マチコが
「とらやで食べた芋の煮っ転がしが美味しかった」
と聞くや、里芋をズタ袋いっぱい買ってきて
急いでとらやに入ってくるシーンは
一生懸命さと滑稽さが表現できる寅さんならではの描写だろう。
また、……いやもうこの辺で。
寅さんは永久に不滅です。