私は都会で生まれ育ったせいか
満足に凧あげを
したことがない。
正確に言えば、
したことはあるが、
あがらない。
神田で生まれ育ちもすれば
まわりはビルだらけ、
風があっても通らない。
風は渦を巻くように時々刻々と
移り気のように変わっていく。
そんな中では凧はあがらず、
クルクルと回るだけですぐに落下。
仮にあがっても
すぐに電線に引っかかってしまうだろう。
現在の荒川区に引っ越してすぐ、
荒川の土手へ出て
凧あげを１回だけしたことがあるが、
やはりダメだった。
これは環境よりも凧そのものが粗悪品だった。
いくらか忘れたが、
駄菓子屋で買った記憶があるので
きっといくらもしなかったはず。
確かその時、私が悪戦苦闘している近くで
当時流行りだした洋凧のカイトを
悠々とあげているのを見て本当に悔しかった。
以来正月でも凧は見向きもしなくなる。
しかし、それから約30年。
そのカイトも当世は随分安価になり、
年末に勢い余って買い求めてしまった。
買ってから何だが、あげるのが怖い。
あげる機会は何回かあり、
子供達は早くあげたがっているものの
『もう少し風がないとあがらないだろう。』
と、一人で言い聞かせながら昔のイヤな記憶の
リベンジには慎重にならざるを得なかった。
そんな１月６日の日曜。
子供らに自転車を思う存分乗させようと
車に自転車を積んで、足立の舎人公園へ。
そこで自転車遊びをさせていると
あちこちで凧あげをしている姿が。
『こんな微風でもあがるのか？』と思い、
車へ戻り積んであったカイトを取り出し、
あげてみた。
あがった、あがった。
30年前のカイト同様、糸が目一杯になるまで
あがってしまった。
（写真では凧が見えないほど）
生涯初の凧あげ。
リベンジ成功。
