好きな作家に高村薫がいる。
初めて読んだのは「マークスの山」
分厚い単行本を一気に読んだほど面白かった。
それからこの作家の作品を読んだものだが
その中で「神の火」が今回の原発事故で思い出された。
内容はソ連のスパイであった元原子力技術者が
再び国際諜報戦に巻き込まれ、ついには
原発襲撃計画を実行する。
最終的に圧力容器のフタを開けるとんでもないことをやるんだが、
その描写があまりにも難しくてよくわからない。
細かい取材で知られる高村さんも理解し
わかりやすく書いているとは思うが、
原子力という高度な技術は凡人の私には理解できない。
話としては重たく読み応えがあった。
その中で
「人間は“絶対”という言葉を使ってはいけない生き物なんだよ」
という一節がある。
ギリシャ神話で言うプロメテウスが人間に火を与えてから
火は時には暴れながら何とかうまく使いこなせてきた。
原子力の火は残念ながら人には余りあるものなのかも知れない。
それでも使わなければならないエネルギー事情は理解できるが
今まで技術者や電力会社が嘲笑しながら
「絶対安全」と言い続けたことは万死に値しよう。
いまや何号機がどうかなど正直興味も無く、
水かけてどうしたのかなど、勝手にやってくれと言いたい。
総理じゃないが、情報もまとめきれず、ろくな会見もできない
あの会社に絶対安全と聞かされ続けた私らがバカに思えてきた。
今更反原発と言うわけではないが…
それにしても、放射線の中決死で水をかける方々を
賛辞しないわけにはいかない。
がんばれ警察、消防。がんばれ自衛隊。
くたばれT電。