帰ってきた!いけちんのずれずれ草

12年間続いた、ずれずれ草が帰ってきた!

小千谷

私の仕事柄、たまにではあるが出張に行く。
大阪や名古屋などの大都市はあまり行かず、
東日本中心でどちらかと言うと小さい町が多い。
今年泊りがけで行ったところは、
新潟は小千谷、福島のいわき、岩手では盛岡、宮古
大体行く場所は決まっている。
いわき、小千谷は年に2回ほど行くのだが今年は1回づつ。

今回は半年前の話で恐縮だが今年出張で行った小千谷の話。
小千谷には震災後初めて足を踏み入れた。
今年6月。六日町で仕事を済ませた私は
関越高速に乗って小千谷に向かうとすぐに驚いた。
湯沢、六日町まではそれほど地震の傷跡は無かったが、
急に道路が波打っている。もちろんひび割れ陥没は無いものの運転しにくい。
脇を見るとガードレールが所々倒れたまんまになっていた。
小千谷の町並みも1年前とは一変し、
バブル直後の東京のように更地の土地が虫食い状態。
暗くなっていたので翌朝気づいたのだが、
周りの山も所々に木々がずり落ちて
斜面に土が露呈しているのをたくさん見かけるほど。
山のそばまで行くと大量の土砂と倒木が放置されたままで、
地震の爪あとがまだまだ残っている。

話は変わるが出張で一番の楽しみは飲み屋での食事。
その土地のものを食すのは出張の唯一のぜいたくかもしれない。
小千谷ではいつも行く決まった店がある。
炉辺焼の居酒屋で新潟県内にいくつかチェーンをもっているようだ。
カウンターに座って焼き物を注文すると
大きなスプーンのようなもの(あれは何て名前?)に料理を
威勢の良い掛け声と一緒に乗せて出てくる。
まさしく炉辺焼。
池袋でそうした店に入ったことがあるが、まさか新潟でお目にかかるとは。
もちろん味も美味しい。
小千谷はもちろん山間部だが寺泊から直送で来る魚介類は新鮮さが感じられる。
どこでも食べられるが、鯵(あじ)が好きな私はいつもたたきを注文する。
食べ終わるとその店の面白いのは、サービスで骨を揚げてくれるのだ。
それを頭からバリバリと食べる。
鯵好きには2度楽しめるなんともはやうれしい仕儀。

ふと店の丸い掛時計を見ると2つある。
一つは現在時刻だが、もう一つは止まっている。
よくよく見てみると止まっている時計のそばに細長い紙が貼ってあり、
そこには「2004年10月23日午後5時56分」と書いてある。
聞けばこの時計が地震の時に落っこちて壊れてしまい。
動かなくなったが地震の教訓を忘れない意味で発生時間のまま掛けているそうだ。
この時は6月だったが、その店も営業を再開したのは
つい1ヶ月ほど前(5月頃)と聞きびっくり。
店の建物は何とかなったそうだが機材が壊れたり、皿がほとんど落ちて割れたり。
もっとも従業員やその家族が大変だったそうで、
半年以上かかってようやく再開にこぎつけたらしい。
それでも良い方で今だに営業できない色々なお店があると聞いた。
たぶんそのほとんどはこのまま閉めてしまうのではないかとも言っていた。
その炉辺焼屋さんには必ずと言って良いほど毎回外人さんを見かける。
はじめはなぜこんな山奥にいるのか分からなかった。
丁度日本でワールドカップをやっていた時期もあったので、
新潟のホテルが取れずにこっちまで来たのかな?と思うこともあったが、
その時期以外にもいる。ある時気になって聞いてみると、
地震の時にも話題になったが小千谷は錦鯉が有名で
わざわざ外国から買付けに来ているらしい。
アメリカでも錦鯉の愛好家も近年多く、需要があるという。
しかしさすがに今(半年前)は外人のお客さんもいなくなったそうだ。

店を出てしばらく散歩がてらにジャスコへ向かう。
途中に小千谷でもうひとつ有名なへぎそば屋さんがある。
つるっとした感覚とそばの風味が美味しい。
少しお腹に余裕があれば食べるのだが、
その日はもうお腹がいっぱいだった。
しかし、何の気無しに店を見てみるとやはり地震の影響で
休業中とのこと。やっぱりなぁと思い気を取り直しジャスコへ。
ジャスコではぶらぶら店を見て雑誌などを買ったりするのだが、
着いてまたびっくり。やけに暗いなと思ったら、ここも閉鎖中であった。
正確に言うとでかい駐車場の一部にプレハブを建てて食品関係だけは
そこで営業している。
見ると7月*日にリニューアルオープンと書いてあった。
冬は雪深くなる土地柄もあり、
思った以上に復興には時間がかかるようだった。

それからすでに半年。町は雪に深く覆われていることだろうが
ぜひ一日も早い復興を願う。