帰ってきた!いけちんのずれずれ草

12年間続いた、ずれずれ草が帰ってきた!

場外馬券場 2

前回の続き。

不思議なことに競馬をはじめた(馬券を買いはじめた)頃、
行けば1、2レースは必ず当たっていた。
ある日のこと、バスで例のごとく浅草に向かって予想をしていると
お金があまり無いことに気づいた。
せいぜい2レースくらいの資金しかない。
しかし「このレースが当たれば***円くらい戻ってくるから、次のレースに充てて…」
と真剣に考えている自分がいた。そのことに疑うことをしない。
それが、実際に当たってしまうから不思議だ。
今はそんな能力は残念ながら無い。

場外で特に思い出されるのは、
客で若い人は私しかいなく(当時)、珍しいものだから
おっさん達がやたらと声をかけてきた。
「次のレースは兄ちゃん何番から行く?」
「学生サンの馬券はどんなだ?」
などと、私の予想が気になるせいか気安く聞いてくる。
聞いてこないまでもじっーと新聞を見ている私の脇から、
横から覗き見て、私が買う馬券をメモしているのをチェックしている。
どうやら私と同じ馬券を買うようだった。
(そのおじサンには悪い事をした…。)
また、レースが始まりモニターに注目していると、
例のごとく「サン!サン!」とか「ハチ来い!」
「そのまま!そのまま!」などと
歓声と怒号の中ゴール板を通過。
(彼らは馬主がつけた立派な名前を呼ばず、
 畜生が背負っているゼッケンの数字しか意味を持たない。)
きわどい写真判定になると、また私に聞いてくる。
「ナナ入ったよな?」
私はメガネをしているものの、若いと目が良い印象があるのか
いい年のおっさんは確認を求める。
「…ン、うん。は、入った。入った。」
と急に聞かれるので戸惑いながらそう答えると、
一目散に当り馬券の払い戻し窓口に走って行った。
あの様子だと、間違っていたら殺されかねないので
そこから私も一目散に立ち去った。