帰ってきた!いけちんのずれずれ草

12年間続いた、ずれずれ草が帰ってきた!

今更ながら3.11~1

あれから4ヶ月半
今更ながらあの日を振り返ってみる。
逆に言えば時間も経ち、
ところどころ自分の記憶に
曖昧さが目立つようになってきた。
自分の見たものを確かめながら振り返る。

当日は金曜日。
勤め先は第2、第3土曜日が休みなので
次の日は休み。
休前日の独特のソワソワ感があったように思える。
お昼休み後成り行きのまま時間が過ぎ
どーってことない感じで仕事をこなしていくと。
運命の午後2時46分
「あれ?揺れてない?」と女子社員がつぶやく。
「あっ揺れてるねぇ」とかえしたものの、
だんだん大きくなってきた。揺れとともに音も大きくなって。
あちこちでキャーキャーとざわめきが起きる。
事務所のカウンターに陶器の背の高い置物が
置いてあるが、それも揺れ出す。
「いけちんさん、これ押さえて無くていいんですか?」と、
ある社員が冗談を振ったやいなや揺れが激しくなる。
一斉に騒ぎ立て多くの社員が3階から階段で外へと逃げ始める。
私も遅れまじと階段室まで行くと、
踊り場から窓を見ていた社員から
「あの看板凄く揺れてる~」
ずいぶん呑気だなぁと思うや後ろからものすごい勢いで
逃げてくる社員たち。
その時はそんなに揺れを感じなかったが
それに押されるように下へ下へと向かった。
そうは言っても外へ出た瞬間に看板やガラスが落ちてきては
ひとたまりもないと、出口付近でしばらく様子を見ながら外へと出る。
まだ揺れが続いている。
さっき見た看板もまだ大きく揺れている。
何だか知らないけど街灯の鉄柱にしがみつきながら、
上から何か落ちてこないかと注意。
気が付けば周りの建物からわんさか出てきているらしく
通りを埋めていた。
大きく揺れている電柱を見ていたらその路地から
血相を変えた警官が駅前交番に向かって走り去る。
内心「これからこの警官大変だろうなぁ」と同情。
まだ揺れ続け、みんながここじゃ危ないから大きい通りへと移動。
駅前の大通りへ行くとそこもすでに人でいっぱい。
車はもうすでに立ち往生状態。
見ると向こうに見える小田急の踏切に車両が止まったまんま
遮断機が下りっぱなし。
揺れは収まっては揺れの繰り返し。「また来た」と言えば
古い建物が大きく音を立てて揺れる。
まだ感覚が残っているのだが、
地面が波打つように揺れているのが足裏から伝わってきた。
この感覚は忘れられない。
これが関東大震災以来の“本番”なのか?ついに“来た”のか?
すでに私の耳には携帯ラジオ。手には携帯電話から見るワンセグ
ラジオでは「落ち着いてください」の連呼。
あまり状況が明らかになっていないらしい。
ようやく東北の方が震源でかなり大きいらしいことを聞く。
関東大震災東海地震ではないようだ。
ワンセグでは海岸線から津波がどんどん内陸に入っているのが見えた。
今となってはこの映像しか頭に残っていない。
思わず「ああ津波が~」と漏らす。
今思い出したが、お台場で煙が上がった映像があった。
あの煙は何だったのか。
揺れが収まったかな?と思い事務所に戻り。
パラパラとみんなが戻ってくる。
しかしまたそれなりの余震が起こる。
するとまた暗黙の内に外へ。それが3回くらい。行ったり来たり。
もう当たり前だが仕事にならない。
それでも仕事している人もいて、心底尊敬すると同時に神経を疑う。

〈つづく〉