帰ってきた!いけちんのずれずれ草

12年間続いた、ずれずれ草が帰ってきた!

今更ながら3.11~4

相変わらず靖国通りも大渋滞。
丁度バスが停留所に停まるところに遭遇したが超満員。
当然一人も乗れない。しかし、出口が開き何人か下りたら
そこから乗り込む人も。
まぁ仕方なかろう。
この光景は隅田川花火大会終了直後、
交通混乱の中で見た覚えがある。
このあたりで水分を確保しようと
500のペットボトルをコンビニで購入。
後で聞いた話ではタダで水を配ったコンビニもあるそうだが
タダでもらったのはそのコンビニの近くで
配っていたポケットティッシュ
床屋だったか、店の前でイメージアップにと配っていた。
残念ながら余り行かない場所なので利用することは無いと思う。
途中、何人かヘルメットをかぶった方がすれ違う。
ずいぶん用意がいいなと感心するも、
かぶってるほとんどが女性。
オシャレなど気にしてられないのだろう。

曙橋まで来てまっすぐ行けば市ヶ谷。
左に曲がれば外苑東通り
もう電車は期待できないので外苑東通りを行く。
その時、時間にして5時35分くらいだったか。
ラジオから生まれて初めて緊急地震速報を聞いた。
思わず立ち止まって上を見上げる。
周りの歩いている人のほとんどは知る由もない。
ものすごい不安に陥りどうしたらいいのかわからない。
目の前にある防衛庁に逃げるか?なんて考えていたら
揺れが伝わってきた。
電柱は震え、電線が切れないか見つめていた。
ようやく収まり、まぁそれほどでもなかったようで
また歩き始める。

外苑東通り防衛庁裏を過ぎると急に車線も少なくなり
歩道も狭くなる。
人も相変わらずの数で、
今までよりは極端に歩きにくくなってきた。
それでも何とか早め早めに歩き続け
牛込柳町を過ぎ、弁天町から山吹町
新宿山吹高校前に空いている電話BOXが。
すでに陽も暮れてきて暗い、
家はどうなっているのか電話することに。
が、しかし。
なるほど空いているわけだこの公衆電話は
不通になっていた。
ラジオではNTTが公衆電話の通話を
無料にしているとの報道があった。
タダならよけいに混むじゃないか。

そしていよいよ江戸川橋までやってくる。
時間は6時過ぎ。
1時間でここまで来た。なかなかのペースである。
さあ、ここでまた思案のしどころだ。
ここから小石川の山を突っ切って白山を抜け
団子坂(千駄木)を目指す直線コースか。
それとも護国寺から不忍通りをひたすら歩く
道からすれば分かりやすいコースか。
前者は直線的であるが道は細かくわかりにくい。
後者は分かりやすいが少し迂回しながらの道だ。
どちらもここへ来て辛いが、起伏が多い。
ここは最後まで直線的に歩こうと小石川と白山の
登山コースを選択。
小日向のあたりを歩くともう幹線道ではないので
人はまばら。車もほとんど通らない。
ふと見ると図書館の前。
あぁ、小学校の時よく通った図書館だ。
確かにここにあるのはわかっていたが
すっかり忘れていた。
さぁそろそろ山登りをとこの辺でいいかなと
細い道の坂を上り始める。
う~んさすがにキツイね。
何とか上まで登ったら、線路が見える。
こんなのところに鉄道?
狐に化かされている思いでおそるおそる
歩くと「何~だ、丸ノ内線か」
丁度丸の内線の車両基地脇に出てきたようだ。
するって~と。そうか、茗荷谷の近くか。
線路沿いの高い塀を右手に見ながら
今度は坂を下りる。ん? ちょっと違和感。
「ここで坂を下るって‥」
下りきると突き当たりの丁字路。
右に曲がるとすぐに丸ノ内線をくぐるトンネル。
出ると急な階段が待ちかまえていた。
違和感の正体はこれだ。
直線的に突っ切ると小石川と白山の
山2つを越えるモノと思っていたが、
まだ小石川の山ではない。
もう一つ山があったんだった。
(実際にはあと二つ)
ルートによっては凸版印刷のある
大曲から上がって伝通院を抜けて行く
山2つのコースもあったのだが、
小日向から上がると茗荷谷を1回下らなければならない。
まさしく“谷”だ。
階段を前にしてちょっと茫然。
暗い中、人通りのない坂の前で立ちすくむも仕方がない。
階段を上り始める。
しかし、今までハイペースで歩いてきたツケが
溜まってきた。
2つ目の山登り(階段)を上がると2坪ほどのスペースに
腰掛けがいくつか並んでいる。
もう迷うことなく「ヨッコラしょ」と腰をかけると
大きなため息。
気が付かなかったがすぐ後ろから登ってきた
若い女性もすぐ隣に腰掛ける。
「どちらからどちらまでですか?」などと声をかけたくなるが
そんな余裕はなかった。
その女性の方が先に立ち上がりさっさと行ってしまった。
こちらはたっぷり15分ペットのお茶を飲みながら休憩。
確かこのあたりからだろうか、
ラジオで原発の電源が落ち危険な状態だと伝え始めていた。
「何とかなるだろう」多くの人はそう思っていたと思う。
電源車も要請するような話もあったし、
まさかこんな事になろうとは夢にも思わなかった。

歩き始めるとそこはすぐに春日通り。
相変わらず道は混んでいるが、新宿界隈で見たよりは
動いている感じだった。
通りを渡るとすぐにまた緩やかな下り坂。
そこそこ道幅はあるが車も人も少ない。
そんな脇にはタクシーがふて腐れたように止まっていた。
客につかまったら最後、目的地まで何時間もかかるであろう。
もう商売にならずと運ちゃんは寝に入っているようだ。
ある意味正解だ。

坂を下れば緑が生い茂る森にぶつかる。
そこは小石川植物園
右に折れしばらく行くと園の正面にあるパン屋というか
食品店があり、店先に公衆電話が置いてあった。
よ~し、また電話してみるかと硬貨ををいれウチに電話。
するとすぐに出てようやく家族の安否確認が出来た。
聞くと家族は無事だったがパソコンの部屋は
棚からほとんどすべてが落ちてメチャクチャらしい。
まぁその程度で良かった。
今小石川で、家に向かっていることを告げ電話を切る。
すると硬貨が戻って来る。
なるほどラジオの言う通りタダになっていた。
小石川植物園の脇の坂を登る。
今日3つ目の山。これがまたきつい。
少し前まで快調に歩いていたことがウソのようだ。
やはり坂が続くと調子が狂う。
急坂を越えすぐに下り。
下ってくるとそこは白山下の交差点。
白山通りの大通りだが、
言わずもがな上下線とも大渋滞。
それを横目に通りを渡って白山の坂へ。
これが4つ目最後の山だ、頑張ろう。
見ると坂を下ってくるバスの中は幼稚園くらいの子供と保護者。
モニターには何やらアニメをやっている。
何の帰りかわからないがこれまた災難。
どこまで行くのかわからないが、目的地に着くのはいつの頃か?
もしかしたらまだ着いてないかもしれない。
こういう光景はよくよく心配で記憶に残ってしまう。

〈つづく〉