どんな人がスターターになるのか
それだけが気になっていた。
いよいよスタート時刻が迫り、
09:05車イスの部がスタートする。
DJが言うに、日本陸連の会長
横川さんとか言う人がやるらしい。
知らないけど陸連会長だったら
相手にとって不足はない。
是非思いっきり賽を振るがイイ。
9時5分。号砲にはほど遠い
パンッともカンッとも言えない音がして
どうやら車イスがスタートした。
あと5分後だ。
その瞬間、ヤバイと感じた。
なぜならアップして身体もほぐれたのはイイが
並んでから、すでに45分以上経っている。
粉雪舞う気温に
すっかり身体が冷えてしまったのがわかる。
狭い中、もうどうすることも出来ない。
早くスタートするしかない。
3分前、1分前、30秒前。
アナウンスが聞こえる。
さっきと同じように乾いた
カンッという間抜けな音が響き、
賽が振られ、
いよいよ「史上最大の作戦」が始まった。
しかし、号砲がこだましても当たり前だが
一向にこのブロックは微動だにしない。
5分くらい経ったろうか
ようやく動き出すも、ほぼ徒歩だ。
これがマラソンなのかと思えるほど
のんびりしたスタートである。
歩いては止まりを繰り返し
ようやくL字の角まで来た。
ワシントンホテルの辺り。
やっと都庁前の直線コースに出るも
依然徒歩。
寒さ対策のカッパが脱ぎ捨てられ、
中央分離帯には汚い光景が広がる。
中には要らないのだろうけど
セーターまで脱ぎ捨てている猛者も。
依然としてほぼ歩きながらスタート地点へ。
ようやっと、お見送りしてくれる
陸連会長らがいるやぐらが見えてきた。
えーッ！何であいつがいるの？
そう、「真央ちゃんは転ぶンですよ」の
陸連会長ならぬ失言元総理がいた。
東京五輪の委員長だから呼ばれたのだろうけど・・・
誰だか後ろの方から「馬～鹿！」の声。
チクショー、先を越されてしまった(笑)。
とりあえず、陸連会長だけに手を振り
スタートラインを越えた。
ついにルビコン川を渡ったのだ。
ルビコンを渡るとそこは徒歩ではなく
前が開けていてようやっと走り始める。
どうやらあっしもそうだが、
スタート地点の記念撮影渋滞のようだ。
耳には音楽プレーヤー。
スタートの際に聞く曲を決めていた。
それはこれ。
「パイレーツ・オブ・カリビアン 彼こそが海賊」
映画音楽としては最高レベル。
これから走る42㎞のオープニングとしては
これ以上無い曲。
スタート地点では毎年ハート型の紙吹雪が舞うのだが、
記念に2､3枚拾ってこうかなと思いきや、
すでに人に踏まれたりして汚いものばかり。
拾うのは断念。
まずは最初の諦め。
今日はどんだけ諦めることになるのか。
ここまで号砲から実に14分ほど。
賽は投げられた。
(つづく）
