東京マラソンの醍醐味を存分に味わっていた。
まもなく一丁目、京橋の高速が迫ってきて
あぁ銀座ともしばしの別れだと思ったとき。
左足のふくらはぎが急にピクンとした。
ん、ん、ン？
ちょっと痛みもある。
この日はじめて給水以外で歩く。
足がつったようだ。
足を伸ばし、何とか修復。
また走り始めるもすぐに今度は右足も含めて
両足のふくらはぎにがピクンと
痙攣してきた。
何だ一体？
また立ち止まり、持っていた
エアサロンパスを吹き付ける。
ああいうスプレーは
冷たく感じるものだが、
不思議なことにいくらピンポイントで吹き付けても
冷たさなんて全く感じない。
本当に一体どうしたんだ！
京橋の明治屋(休業中？)を過ぎた辺りか
まっつぐ行くと日本橋だ。
半分を過ぎたばかりでこの故障だ。
考えたくもないが、
リタイヤの文字が頭に浮かんできた。
自分の顔色がみるみる青くなっていくのが
鏡を見なくとも分かった。
チクショー・・・
でも、とにかく進むしかない。
いろんな人から「無理しないで」と言われたのが
思い出される。
こっから先は「無理」なのだろうか？
また走り始めるもすぐにつって、また歩く。
ちょっと歩けば症状は引きまた走る。
走っては歩き、歩いては走る。
その繰り返し。
ハーフを過ぎてバテてないとは言えないが、
まだ体力も気力も残っている。
ふくらはぎの痙攣という足枷を履かされているだけだ。
遠くに日本橋が見える。
そのあとは水天宮、浜町、浅草、また戻って日本橋。
そして、銀座、築地、豊洲・・・
フィニッッシュは有明ﾋﾞｯｸﾞｻｲﾄ。
チクショー、有明が遠い。
遥かに遠い。
一歩一歩近づいているのだが、
離れていくような感覚に襲われる。
あっしは完走できるのだろうか？
もはや、この時点でサブ５（5時間ぎり）は
頭から消えていた。
(つづく)
