帰ってきた!いけちんのずれずれ草

12年間続いた、ずれずれ草が帰ってきた!

行くぞ品川待ってろ銀座あれに見えるはビッグサイト 16 ミク、ジョージ、ドM!

大胆不敵にハイカラ革命

環状線を走り抜けて~

東奔西走なんのその~


初音ミクが唄い出しはじめ
テンション上げて1人、2人と抜いていく。
みんなあっしと同じかやられちゃっている。
4人、5人と抜いてよっしゃーその調子と思いきや。
やはり脚が悲鳴を上げる。
ここは正念場と無理して走る。
走る、走る、走る・・・歩く。
やっぱりダメだ、仕方なく歩き出す。
まだ坂の3割も登っていない。
悔しいがどうしようもない。
どうしようもないがまた走る。
走ってもすぐまた歩く。
ようやく坂が終わりフラットになったが、
ここが魔モノと呼ばれている理由が
坂だけでは無い事がわかった。
この橋、左右には防音壁がありそれが延々と続く。
いままで信じられないようなギャラリーの数と
声援を目の当たりにしていたが、
疲れ切ったランナー達は一応に寡黙。
急に静寂が訪れた。(千本桜は騒がしいが・・・)
その空気の重たい事。
皆うつむきながら走る、いや歩く。
走っているランナーのほうが少ない。
「こりゃつらいわ!」思わず声を出す。
坂のきつさよりも、いままで当たり前のようにいた
人が消えたことがもの凄いきつさを感じる。
声援があるのと無いとでは全然ちがうのは
やってみなければ分からない事だった。

あっしは今までに来たメールを歩きながら確認。
ちょうど30㎞付近のつらいところのメールが
本当にありがたい。
みんな応援してくれている。
今もこの地点を確認しながら見てくれて居るんだろう。
そう思ったら・・・
もう汗も出きった感があるから
涙も出なかったような気がしたが、
取り出したタオルで顔を覆う。
孤高のランナーなどと
偉そうな事をぬかした自分が恥ずかしい。
あっしは孤独ではなかった。幸せもんだ。
初音ミクが耳で「光線銃を撃ちまくれ~」と叫ぶ
よう~し、撃ちまくってやろうじゃないか。
顔を上げるとまた1人、2人と抜いていく。
しかしまたすぐに歩く。
すると歩道が現れてようやっと
応援ギャラリーの方が戻ってきた。
すると、耳からはジョージ・ウインストン
「あこがれ愛」が流れてきた。

なんだこの曲の並びは!その落差に落胆しながらも
今の気持ちには丁度イイかもしれないと受け入れた。
すると曲に呼応するかのように
またこみ上げてくる・・・
タオルに顔を埋め汗?を拭く。
顔を上げると隣から赤い蝶ネクタイに半ズボン
青いジャケットを着た江戸川コナンの女子が
ものすごい苦しそうな顔をしてあっしを抜いていった。
思わず笑ってしまう。ちょっと和ませてくれた。

涙の佃大橋エリアも終わりに近づき下りになった。
晴海通りが見える。右手は確か晴海総合高校。
下りきって左折し春海橋を渡る。
そこにもギャラリーが大勢いた。
ギャラリーは一応に声援を送るが、
よくボードにメッセージを書いている人も。
この辺に来ると
『あと、**㎞。頑張れ~』や
『ゴールは確実に近づいている』と書いてあったり。
『当選おめでとうございます。
つらいけど走れない人もいます』
などと恨み節を書いている人もいる。
(あっしはカネで買ったんだけどね)
春海橋でこの日一番の面白いメッセージがあった。
どうやらテーブルを出して
数人で宴会をやってるグループだろうか。
『このドMども、いい顔してるぞ!』
と書いてある。
このドS達はあっしらの顔を肴にやってたのか?
そう言やそうだ。反論は出来ない。
あっしらは40㎞を好き好んで走るドMに違いない。
橋を過ぎ、豊洲に入る手前で
何やら中央分離帯に「医師」と書いてある人など
人だかりがある。
見ればあっしよりもっと若そうな青年が
毛布にくるまれ横になっていた。
大丈夫だろうか?目は閉じていたので
意識があるかどうかは分からなかった。
結局マラソンってこういう事だ。
そんなリスクがあることも表裏一体になっている。
すぐさまドMなことが証明された。

(つづく)