狐の母と子、人間のふれあいを描いた新美南吉の童話ではないが、
久しぶりに雪の降る東京で
てぶくろを買いに行った。
てぶくろを買うには絶好の日和だ。
もっとも手袋がないわけではない。
少々古くなり、何でもいいから
新しいのが欲しかった。
夕刻、雪はすっかりと止み
上野に降り立った私はアメ横を
ぶらつく。
安いのは安いが
なかなか気に入ったのが無い。
いい加減寒さに耐えられず、
適当に買ったのがまずかった。
あとで着けると、
「ち、小さい…」
きついくて、指が動きづらい。
どうもサンプルとサイズが
違っていたのかも知れない。
仕方なく我慢して着けて帰るが
何とも違和感が。
こんな日はちょっと一杯と思い、
どこに行こうかと思慮していると、
この寒いのに、立ち飲みの店先で
生ビールを飲んでいる人たちがいた。
「この寒いのに… えらい！」
ビール好きの私にとっては
そう言わざるを得ない。
私もと思ったが、
上野駅の入谷口改札前に
ギネスビールの店があるのを
思い出した。
寒い日は濃～い、コクのあるビールがイイ。
そうなると、てぶくろも気にせず
お目当てに行く。
暑くも寒くも
似合ったビールが飲めるのは幸せだ。
さて、てぶくろはどうしよう。
